2010年5月2日日曜日

初めて読んだ調査書

「先進的医療機器の研究開発における医工連携の日米欧比較調査」を読んだ。

たまたま大学で本を借りようと思ったら見つけてしまった。
これは文字通り各国の研究開発の比較である。
一般的に、医療機器にとどまらず市場調査とか、今後の動向を知りたいと思ってGoogle様に訪ねてみても、だいたいウン十万する市場調査報告を買えといわれたり、タダで手に入る情報もすごく微妙で鵜呑みにしていいものかと思ってしまう情報が多い。
ウン十万する調査書も、それだけ価値があるものなのか僕にはまったく分からないが。

その中で、この調査書は それっぽい風体をしていて、タダで借りることができるので読んでしまった。もちろウン十万する調査書と違い、未来工学研究所っていう財団法人が出しているものだから、そもそも質的には違うだろうと分かってはいましたが。

個人的に内容はおもしろかった。
ただ、おそらく調査書としては価値が低い。
僕としては、日本やドイツ、ヨーロッパの研究動向が医療の分野でどのように進むのかというのを一方向からであるが、把握できた点。
医療機器業界の直近の市場規模や、企業の数やシェア、研究開発投資分野の変化などを知ることができた点。(ただ、これに関しては一般的なレベルをがほんの少し詳しくなったくらい)
に関しては、おもしろかった。

しかし、調査書としては、ただアンケートを色んな人にとって、こんな感じでしだ。で終わっているのはどうなんだろう。確かに、個人的にはアンケートはおもしろかったけどね。
調査書としては、フンワリしすぎている。
もっと理論的に分析した結果とかがないと、結局誰にでもできる仕事をしている感じがしてしまう。
それと、この調査書の目的はあくまでも比較なんだけど、医療機器開発の目的と阻害している部分を今回の比較から把握して、最後にそれに関して対応策を提案しているが、あまりにも無難かつ、当たり前に終わるので驚いた。

この2点に関しては、調査書という世間の実態がよく分からないので、こんなものなのかとも思ってしまうが・・・・
それに、偉そうなことをいっているが、医工連携によって重要なファクターが何で、評価すべきものは何かもよくわかっていないんだが。

また、今回改めて思ったことがある。
アメリカの研究者が"我々は他国の研究者よりゆっくり進んできた"と述べている記述があるが、そもそもその研究に着眼したのは一番早く、日本の政府が援助するおよそ20年前からだ。確かに、初期段階は大規模ではないが、裏をかえせば小規模でも援助する人間と仕組みがあるということだ。更に、それが長く続くと一気に研究規模は大きくなるようだ。

日本の政府は腰をあげるのは重いが、援助は行う。しかし、ある程度他国での成功を把握してからである。なので、この調査書でも言及されているが、失敗した時も先人の国が失敗しているのだから、責任は曖昧になる。誰もリスクはとらない。
そもそも、日本の政府が援助する先なんて、よく分からない研究機関が多いんだが。

まぁ、ある意味仕方ないのかもしれないが、小規模の現場からイノベーションが起こる環境づくりがないというのがそもそも大きな問題なんだと思う。現状では、20年後世界を変える基礎的なアイデアや研究は日本からはでない。

ところで、小規模な時期からのイノベーションないままでは、日本はどうなるのかと不安に思う。
日本は昔から長年、根幹をなす技術の基礎的なアイデアは頂いてきて、それを改良し、企業はモノをつくってきた部分があると思う。もちろん、改良のレベルは高いと思うが。
また、少なくとも当たり前のことしかやらずに、突飛なアイデアなどは無視されがちな傾向があるのではと思う。
しかし、今後もそれが主流で良いのだろうか?
もちろん、チラホラと努力している人や場所があるのだろうが、アメリカと比べると、そもそもの枠組みが違いすぎると思う。
調査書であるなら、個人的にはそういう部分にもっとフォーカスして調べてもらいたっかたのだ。

ただ、僕は日本人の底力を信じている。
英語さえできれば w