静的・線形の有限要素法のお話をする前に、有限要素法が解くべく、基本的な構成式を弾性変形領域、剛塑性変形領域、弾塑性変形領域でどう変わるかをまとめます。
最も一般的でよくみるのが弾性変形。
完全に塑性変形しかされないとし、体積一定の変化をするのが剛塑性変形。
弾性変形と剛塑性変形の両方が存在するのが弾塑性変形で、数学的には少し面倒。
(以下数式は面倒なので、色々と正確には書いてません。添字とか、次元数とか。大まかな把握をして頂ければと思ってます。)
まず、よく見る弾性変形です。
弾性変形は、
1 変位-ひずみ関係
2 応力-ひずみ関係
が定義されますね。
この辺りの導出は大学では基本的な話だと思うので割愛します。
続いて剛塑性変形についてです。
剛塑性変形では以下のような実験的事実から仮定をし、構成式を得ることができます。
1 弾性変形のような、全ひずみと応力の関係ではなく、ひずみ速度(ひずみ増分)と応力の関係が存在する。
2 塑性変形は静水圧によらない。つまり、平均垂直応力(各軸方向に働く垂直応力の平均)には影響せず偏差応力に依存する。(変化後の体積も一定。”微小変形領域”部分ではν=0.5とみなせる。)
この実験的事実から、レビィの仮説が出てきます。塑性ひずみの増分は、偏差応力に比例するという関係です。
つまり剛塑性変形は、
1 変位-ひずみ速度の関係
2 塑性ひずみ増分-偏差応力の関係(レビィの仮説)
という関係がうまれてきます。
変位-ひずみ関係は、変位-ひずみ速度の関係となっています。
ひとつやっかいなのが、この比例定数dλが変形抵抗と相当ひずみ速度(説明割愛)に依存するため、変形量や変形速度によって変化するという点です。
弾塑性変形の構成式は性質の異なる両者を足しあわせての関係となります。(プラトン・ロイスの式)
では、それらの構成式からなるものを有限要素法ではどのような支配方程式として解くかは、また次の段階の話になります。
有限要素法の場合
簡潔に述べるなら、弾性有限要素法では、材料構成式が応力σとひずみεで表され、剛塑性有限要素法では、上述したように偏差応力σ´とひずみ速度dε。最後の弾塑性有限要素法では、応力速度dσとひずみ速度(正確にはストレッチング)Dとの関係で表します。このような形で支配方程式を解くことにより、最も基本的な弾性有限要素法と同じ形のようなマトリックスを得ることができます。
しかし、線形ではないので、非線形方程式を解かなけらばなりません。線形のマトリックスであれば逆行列を求めればいいだけのことです。(といっても色々そこにも方法がありますが。)非線形であれば、もっとも簡単なのはニュートン法です。簡単にいえば、関数の傾きを求めて少しづつ解の方向に落ちていく方法です。(といっても色々問題はありますが。)また、陰解法や陽解法も有限要素の場合は、把握しておかないといけません。
初学者はこの辺りが敬遠しがちな部分ですが、大雑把でも良いので数学的な特徴を掴んで利用できるようになった方が良いと個人的には思っています。
この辺りはまたの機会に。
参考文献
今回の記事は以下の書籍を参考に書きました。
コロナ社
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小坂田 宏造
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(この記事は別Blogに掲載していた、記事をこちらのBlogに移行したものです。編集者は同じです。)