2010年8月29日日曜日

Texでプレゼンテーション beamer編



自分の学会発表で、今回はTexを用いてプレゼンを行うことにした。
Texを用いた大きな理由は、KeyNoteにあきたという、非合理的な理由からである。

今回は、Beamerと呼ばれる、LaTexのプレゼンテーションソフトウェアを用いた。
Beamerを選んだ理由は、これまた深い理由はなく、海外の関連研究者がたまたま使っていた、用意されているスタイルが(見た目が)気に入った。という理由が主である。
特徴としては、frame定義ができ、PDFを用いて色んな効果が期待できるようだが、個人的にはそこまで、それらの機能をまだ重宝できていない。

Beamerについて

Beamer(LaTex)を用いて、プレゼン資料を作成するメリットを挙げておく。

1、論文をTexで書いている人には、そのままプレゼン資料を作成することができる。
この1番の利点は大きいと思う。慣れれば、KeyNoteなどのGUIが非常に優れたアプリケーションより早く作成することができるだろう。

2、PDFなので、OSを選ばない。
発表会場でのトラブルを減らすことができる。ただし、最近はもともと自分のPCで発表する機会が多いので、トラブルで大変な目にあっている人をみかける機会のが少ないと思う。また、Linuxで作成できるので、Mac、WindowsよりもLinuxだ!という人にはうってつけだと思う。

3、Texが美しい配置を考えてくれる。
個人的に恩恵をうけたのはこれだ。配置を最適化してくれるため、美しい見た目を維持できる。ゴチャゴチャした配置には作りづらくなる。もともと、そういったセンスがある人には関係ない話でもあるが。

と、利点はあげたものの、KeyNoteでも充分だと思う(PowerPointは論外だが)。Beamerの悪い部分としては、最初は箇条書きベースで書いてしまいそうになるところだ。一方、KeyNoteは、スティーブ・ジョブズの、Appleの製品だけあって、箇条書きを遠慮している配慮が感じられる。ただ、Beamerも慣れれば問題ない。特に、1についての利点は大きいかもしれない。
  
Beamerの導入方法

ここでは、 Leopard に導入する方法について。
Latex Beamer Classをここからダウンロード。
基本的に、latex-beamerとpgf、xcolorが必要。
以下のように展開。

tar xvfz latex-beamer-3.06.tar.gz
tar xvfz pgf-1.01.tar.gz
tar xvfz xcolor-2.00.tar.gz

sudo cp -r latex-beamer-3.06 /usr/local/share/texmf/tex/latex/latex-beamer
sudo cp -r pgf-1.01 /usr/local/share/texmf/tex/latex/pgf
sudo cp -r xcolor /usr/local/share/texmf/tex/latex/

sudo mktexlsr
 
コンパイル手順としては、
tex->dvi->ps->pdfという変換手順になる。

platex sample.tex
dvips -Ppdf sample.dvi 
ps2pdf sample.ps
ポイントとしては、dvipsの際に、-Ppdfのオプションを付けること。
これで、自分のTexをコンパイルすることができる。

latex-beamer内にいくつかサンプルがあるので、コンパイルできるか確認してみると良い。
日本語環境を導入するには、別途作業が必要。

動画の導入方法 

¥usepackage{multimedia}
が必要となる。これは、beamerをインストールすれば、基本的に問題なく導入できる。
また、動画をPDFで見るには、Acrobat Reader6.0以上で、Beamer2.20以降でないといけないようだ。かなり問題なのが、Macのプレビューで、PDFを開いても動画を見ることができないところだ。

¥movie[width=5cm, height=4cm, poster]{}{sample.avi}
と入れたい動画を指定すればできる。
movieコマンドの詳細は、ここを参照。

対応している動画ファイルは限られる。mp4などは、再生できない。
動画変換ファイルとして、Macユーザーにフリーで個人的にお勧めなのはこちら。

QT MPEG4 Exporter

QuickTime Playerで開いているムービーをQuickTime、MPEG-4、3GPP、3GPP2、AMC、DV stream、AVIなどの形式で出力できる。 

Snow LeopardでBeamer

Beamer and Latex With Keynote Theme

2010年8月13日金曜日

ハイエク・「奴隷への道」入門



自由をいかに守るか ハイエクを読み直す

この本は、すごくよかった。僕の中に大きなアイデアの種を残したことは間違いない本となった。ハイエクを初めて知りたい人。自由主義や社会主義・共産主義が知りたい人。民主主義と自由主義についても。また、ハイエクが「奴隷への道」を書き上げた当時の思想的な時代背景など、かなり色々なことを知る事がでる。特に、僕の同世代(ギリギリ昭和生まれ)か、それより若い人は読んだ方が良いと思う。是非買って読んでください。

まず、「奴隷への道」とはなんなのか。本書では、ハイエクがイギリスのロンドン・スクール・オブ・エコノミクス で経済学者として働いていた時に、彼の専門外であり、社会主義の学校であるロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの同僚を批判するにも関わらず、義務感から執筆した書であると述べられている。その義務感とは、歴史的追体験をイギリスで感じていたことでからくる。その追体験とは当時思想的にトップを走っていたドイツの後を追い、イギリスまでもが、社会主義的な国家へと変化していくと感じたこと。そして、この書は、ハイエク自身も"本書の主な結論に対して、三十二年たった時点でも、訂正する必要はなく、「一般読者にすすめる本を選べ」といわれたら躊躇なくこの本をすすめる"と処女作でありながら、述べているほど、ハイエクを知り考えるにも適した書であるようだ。

この「奴隷への道」の素晴らしいところは、結局現代の問題の多くがすでにこの当時予想されていて、未だに解決されていない問題の本質にも風化することなく、ハイエクの主張を当てはめる事ができることだと思う。そして、この”自由をいかに守るか ハイエクを読み直す”の素晴らしいところは、それがものすごく分かりやすく書いてあることだ。

また、何で僕の同世代以上に若い人に進めたいかというと、僕たちの世代が共産主義・社会主義の怖さを微塵も経験したことがないことにある。学生運動も過去のものとなり、大量虐殺に導いた思想である、程度の知識しかないから、不景気になったり今後さらに経済が弱くなったら、また全体主義的な考えに若い人からどんどん染まってしまうのではないか。特に、教育の分野に今だに赤い旗を掲げている人が多いこの国では、自由主義の反発から日本が全体主義に染まることは簡単かもしれない。いや、もう現在の時点でもそれは進んでいる。現在進行形だ。日本のハイエクを時代が必要としているかもしれない。

この本は、是非手にとって読んでほしい。僕が、このブログにまとめられるほどの内容ではない。以下は僕が気になった文章の羅列です。

"自由主義は、ヒトラーが最も憎んだ教義であるという名誉を持っている"
ヒトラーは、自分が民主主義であると信じ、九十数パーセントの投票によって選ばれたという意識があった。



"自由主義の成功こそが、自由主義そのものの衰退の原因になった"
自由主義の経済発展はすべての人に恩恵をもたらしたが、マイナスの面ばかりをみるようになったというハイエクの主張。自由主義に対する反発が生まれる

 "組織化が徹底した産業界では、消費者は資本家と労働者の共同の独占行為のなすがままになる”
消費者なき世界。現在の談合問題などにも通ずる。この文章は、計画経済が、計画主義者も自由主義者も満足いくものではないということを意味する。

"平等への情熱が自由への希望をむなしいものにしてしまったがために、この世界に与えられた絶好の機会が破棄されてしまった"
平等を求めていくと自由がなくなてしまうという意味のアクトン卿の言葉。 



"経済学者の中には、政府の大規模な公共事業が巧みなタイミングで実施されることで解決できるのだと信じている人もいるが、これは自由競争の領域に深刻な制限をもたらすかもしれない"
ハイエクはケインズの友人であり、後にハイエクはケインズを批判している。 


"「自由」という言葉のねじまげ"
オーウェルの"1984年”にも描かれたように、 「自由」に対し「新しい自由」を与える。これは確かに理想的なので、人は誘惑に負けてしまう可能性がある。

"地獄への道は善意で舗装されている"
意味は言わずもがな。世界に対して100年間に及ぶ大マインド・コントロールをかけたのがマルクスであり、そのマインド・コントロールを解くのに最も貢献したのが、ハイエクの「奴隷への道」である。

 "しかし日本ではいまだに統制経済的なものに対する憧れのようなものが残存している。ハイエクが「奴隷への道」の最終版につけた文章は、特に今日、われわれが耳を傾けて聞くべきだと思う。"
その通りかもしれない。

2010年8月7日土曜日

リバタリアニズムの英雄達



不道徳教育

これからの「正義」の話をしようを読んだ影響で,「自由」について考えてみようと思い,まず手にとった本だ.「正義」本がリバタリアンに否定的な主張であるのに対し,こちらはリバタリアンを擁護する内容となっている.しかし,読み物としては,あまり面白くなく,今更大きな新しい発見もなかっので,お勧めはあまりしない.今,世の中でよく聞くリバタリアンの主張が,確認することはできる(ただし,大雑把だが).また,翻訳者である橘 玲氏の意訳以上の翻訳が(訳者あとがきでも触れているが) ,個人的には失敗だったのではと憶測する.内容が非常にチープになってしまった感がいなめなかった.

 ただ,この本の価値ある部分は同時に翻訳者の橘玲氏の,まえがきにある.ここで,僕が誰かにはっきり言ってもらいたかった事が書いてあった.

"すべての不幸は国家によって引き起こされている.・・・.国家が国民の福祉を増進するというのは幻想であり,歴史的事実は,強制力をともなう巨大な権力が,一人ひとりの人生にとてつもない厄災をもたらすことを教えている.・・・.人類の理想とは国家の存在しない世界である.・・・.「市場原理主義」こそが,人々に自由と幸福をもたらす唯一の希望でである."
 
まえがきでは,このようなリバタリアンの主張から始まり,リベラリズム,保守主義へとつながる.特に,乱暴ではあるが以下の文章は,印象的だった.

"リベタリアニズムというのは,ようするに次のような政治思想だ.

人は自由に生きるのがすばらしい.

これに対して,リベラリズムは若干の修正を加える.

人は自由に生きるのがすばらしい.しかし,平等も大事である.

「自由主義」に対抗する思想として保守主義が挙げられるが,それとても「自由」の価値を否定するわけではない.彼らは言う.

人は自由に生きるのがすばらしい.しかし,伝統も大事である."

なんと 分かりやすい.


そして最後に,訳者は以下のように結ぶ.

"リバタリアニズムの本質は「自由な個人」という近代の虚構(というかウソ)を徹底する過激さにある.その無謀な試みの先に,国家なき世界という無政府資本主義(アナルコ・キャピタリズム)のユートピアが蜃気楼のように浮かぶとき,人はそれを「希望」と呼ぶのかもしれない."

実は,このまえがきにこの本の全ては収録されている.あとは,様々なリバタリアニズムの英雄達が,風刺的に描かる.はじめにリバタリアンを勉強するために,手にする本としては,間違っていたかもしれないが,これほどリバタリアニズムを直感的に分かりやすく解きほぐしてくれたことには感謝したい.


それと,個人的に心に留めておきたい文章も残しておく.

"特殊な技能をもつ労働者は「投資家」であると同時に「資本家」でもある."

今後エンジニアとして食っていくには,この文章を忘れてはいけないと思った.

2010年8月1日日曜日

OpenCV2.1をMac(Leopard)にインストールしました。

OpenCV2.1をLeopardにインストールしたので、そのまとめです。詳しくは、こちらを参照するのが一番良いですが、僕なりなメモを残しておきます。

まずは、OpenCV2.1をダウンロードしましょう。ダウンロードはこちらから。続いてファイルを展開します。展開するのはどこでも良いですが、個人的には/Developer/Applicationsの下に展開するのが良いと思います。

次に、 cmakeの環境を整えてください。cmakeはここでは、割愛。cmakeのGUIを使ってインストールもできます。

まず、 /Developer/Applicationsの下にmkdir opencv.buildとコマンド。そのフォルダに移動。

Leoperdの場合は、こちらのUse Cmake to buildにもあるように、いくつかオプションをつけてcmakeをしないといけません。なので、コマンドはこういう感じ。

sudo cmake -D CMAKE_OSX_ARCHITECTURES=i386 -D CMAKE_C/CXX_FLAGS=-m32. -D WITH_CARBON=ON -D WITH_QUICKTIME=ON ../OpenCV-2.1.0/ 

最低限これで、インストール可能です。

あとは

make -j8
sudo make install

で終わります。

OpenCV1.0もしくは1.1で開発を行っていて、いきなり2.1をインストールした人は、インストール先が異なることがありますので、注意を。もし、OpenCVのsamples/c/buile_all.shを実行しても、エラーばかりでコンパイルできない場合は、pkg-configの設定がおかしいかもしれません。そんな時は、
export PKG_CONFIG_PATH=/usr/local/lib/pkgconfig:${PKG_CONFIG_PATH} 
で済むと思います。