2010年12月7日火曜日

技術が残酷な世界を変えるか




残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法 橘玲

橘玲氏は,不道徳教育読んで以来手に取る。考え方は嫌いではないし,少し影響を受けている自分がいる。文章と考え方から,勝手にもっと若い人を想像していたが,1959年生まれという事実がまず,個人的にはかなり衝撃的だった。(失礼)

もし,自己啓発本好きな人間がいたら,この本を紹介するのがいいだろう。端的に結論を,誤解を恐れずに書いてしまえば,好きなことを伸ばして,そこからお金や幸せを得るようにベクトルを向け,最終的にはビジネスモデルを構築できるようになる人生を進めている本だ。

”好きなことを仕事に”みたいなことは,よく言われることだ。
あの,スティーブ・ジョブズだって,スタンフォードで行われた有名演説で,"I loved what I did. You've got to find what you love."と述べている。


ただし,この本が少し変わっているのは,努力で自分を変えようとすることが,遺伝的に正しくないという観点から説明を始めることだろう。また,その流れで,子供が成長するのに親の愛情は必要ないと述べるのも,実に小気味良い。自分は,そう簡単に変えることはできないという結論は,非常に納得がいく。では,他人を変えるのはどうか?人の心に影響を残す方法や,人類の進化で染み付いた無意識を逆手に利用することはできるが,それは多くの場合,不幸な社会を招く。

そして,貨幣の誕生が人類史からみて浅いことからも,僕達は金銭だけで,すべての幸せを得られないという当たり前の事実を知っている。また,自分が幸せだと思える環境は,自分の能力や性格に大きく依存することも。幸いなことに,僕が生まれた現代は,過去の時代よりも,好きなことから,より幸せを得やすい環境が,市場と技術のお陰で得ることができる。たしかに,好きから始まった世界は,多くの人間を統率しようとした時代の世界よりも,多くのものを生み出したのかもしれない。

まず,僕はこの時代に感謝し,自分も同じように "I loved what I did." といえるかを考えてみようと思う。

ただ,個人的には,大企業=伽藍と決めつけ,ネガティブ評価をもらわないようにする消極的な集団と決めるのは,悲しいかなと思ってしまう。

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