振動のモードの意味をよく分かっていなかったのですが、今回勉強して少し感動したので、まとめておきます。知っている人には当たり前ですが、知らない人がモード解析する場合は、必ず知っている方が良いと思います。
固有値問題について復習しましょう
早速ですが、固有値問題から、復習します。(モード解析と、固有値問題がつながると感動するので、このまま進んでください。)
(行列Aは二行二列の行列とします。)
左辺は、{φ}ベクトルに行列Aを積します。
右辺は、{φ}ベクトルに単位行列をλだけスカラー倍したものと積します。
幾何学的に考えると、
左辺は、{φ}ベクトルに変換行列Aをかけています。
右辺は、{φ}ベクトルに単位行列をスカラー倍なので、{φ}ベクトルを単純に方向を変えずに、大きさだけが変化しています。
つまり、変換行列Aに対して、方向を変えずに、大きさだけが変化する{φ}ベクトルが存在するということになります。
ここで、上式を展開すると、
となります。
この式がベクトル{φ}=0の解にならないためには、{[A]-λ[I]}の行列式が0であることが条件となります。連立方程式の解がもつ条件の逆になる。と考えれば、分かるかと思います。(連立方程式の解が存在する場合は行列式が0にらないが、解は自明の解であるベクトル{φ}=0になってしまい、方向を変えずに、大きさだけが変化する{φ}ベクトルが存在しない。という意味になります。そのため、方向を変えずに、大きさだけが変化する{φ}ベクトルが存在するためには、行列式が0である必要があります。)
{[A]-λ[I]}の行列式が0になることは、行列式を展開すれば、λの二次方程式を解くことにつながります。一般的な二次方程式なのでλの解はふたつ存在することになります。
さて、この場合、ベクトル{φ}の解は、先ほどの説明からも分かるように、一意的に決まらず、ベクトル{φ}の各要素の比としてしか答えが求まりません。ベクトル{φ}の各要素を{φ_1,φ_2}とおけば、φ_1/φ_2 = αというような形になる答えしかとりません。
また、λの解がふたつ存在するので、実際は、φ_1/φ_2 = α_1、φ_1/φ_2 = α_2というふたつの解の状態になります。
つまりは、単純に方向を変えずに、大きさだけが変化する{φ}ベクトルは、行列Aに対して以下のふたつのベクトルが存在するということです。(2次元なので2つです。省略しますがN次元でれば、N個存在します。)
このベクトルを固有ベクトルと呼んでいます。
しかも、おもしろいことに、この2つのベクトル{φ}は直行する性質を持ちます。
この、直行する性質を持つというのが、物理的な意味でモード解析を考える時には、面白い意味を与えます。
以上の説明がよく想像できない場合は、以下のサイトも見てみてください。
http://homepage2.nifty.com/eman/math/linear09.html
数学の話しかしていませんが、続きは、また次回書きます。
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