2013年9月23日月曜日

キャリアとはなにか。働き方を見直し、発展していくための良書。

普通のサラリーマンのためのグローバル転職ガイド
東洋経済新報社 (2013-05-31)
売り上げランキング: 2,224


今年の下半期に読んだ本で、一番、自分のためになった本です。
僕は20代も後半に入りかけてきましたが、僕より若い世代は、読めば必ず勉強になると思います。

自分のキャリアを知り、発展させていくためには、世界の様々なキャリア形成や、組織の立場を知ることが近道になるのだと思いました。

・あなたは、今どの立ち位置にいますか?

グローバルに展開している会社=グローバルな仕事ができる。

とはいえません。

その会社の部署が

ローカル向けの仕事をしているのか、
ある地域を統括する仕事をしているのか、
本社部門として全体を統括している仕事なのか、

で、その社員が得られる業務経験と、必要なスキルは異なってきます。

更に、その部署が国内の支社なのか、本社なのか、海外の支社なのか本社なのかで状況は大きく変わってきます。

なので、自分はどういった立ち位置の仕事をしているのか、をしっかり見極めておく必要があります。

本書ではその立ち位置の違いを
①グローバルジョブ
②リージョナルジョブ、
③ローカルジョブ(グローカルジョブ)
に分けて説明しています。

つまり、気をつけないといけないのは、どういった会社にいるかではなく、自分の仕事がどの立場にいるかが重要だということです。

・あなたは、どの方向に向いますか?

今、現在の自分の仕事が、どの立場にいるかも重要ですが、自分がどの方向に向かっていくかも考えないといけません。

そうなると、今度は自分が今のいる会社が、次のキャリアに向かう時の選択肢にどういう影響を与えるかを考える必要があるかもしれません。

本書では様々なキャリアプランの例を示しています。

グローカルジョブから、リージョナルジョブへ、更に、グローバルジョブへと考えるならば、その会社の地域の統括会社をどこにおいているか、などの要素も影響を与えてきます。

また、自分がグローバルジョブへと通じる基本的な条件を持ってるかを見直してみましょう。習得するべき語学もそうですが、特に専門性と成果が、外に示せる形で持っているかどうかは重要な部分だと思います。

この専門性やスキルの向上の方法でも、重要なヒントが本書には書かれています。

①半歩ずらしのキャリアデザイン
全く新しい業務につく時は、専門性という点では、新入社員とほとんど同じになってしまいます。しかし、半分専門性をかぶらせることで、自分の得意分野を維持しながら、新しい領域の業務に進んでいくことができます。

②組み合わせのキャリアデザイン
①にもつながる部分があると思いますが、ひとつの専門性でトップを目指すのではなく、市場が必要とするスキルの組み合わせを行うことで、市場での自分の価値をあげようという考えです。

こうして、実績を積み上げていくことで、市場に対して優位に働こうという考えです。しかし、何を積み上げるべきなのか。というのは難しい問題だと思います。

・日本の企業での働き方について考える

本書では、日系企業の批判や、特殊性についても論じています。

日本人ばかりの役員や、外部からは分かりづらい阿吽の呼吸などの、日本の特殊性。また、曖昧さの中で、仕事とキャリアを積み上げていく必要性などです。転職に関しても、日系企業の日本人は意思決定が遅くなってしまい、声をかけずらいと思われている。などのことが挙げられています。

しかし、かといって、この環境について、文句ばかりをいって、他責的な人間になっても仕方ありません。この特殊性は、日本人がゆえの利点も多々あり、あえて利用していった方が得策かもしれないと本書では述べています。

例えば、日本人の役員が多く、世界的に展開をしている企業が多い日本にとっては、役員やグローバルジョブに多くの日本人がつきやすい、とも考えられます。新興諸国に比べれば、日本は先人達の活躍の成果があるため、大変優遇された環境に”まだ”いるといえます。

また、曖昧な組織の評価基準は、かえって自分が強い意思でキャリアを作り、それをアピールしていけば、自分の価値を高め、組織の中である分野で評価されやすい。といった利点もあると述べられています。

しかし、世界的にいうグローバルジョブとは違い、内向きな組織である場合もあるので、自分達が理想的だと思うような、グローバルジョブを推進しやすいかといったら、それも難点があるかもしれません。

また、今までの日系企業の組織体系がいつまでも続くかといったらそれも疑問です。

多くの企業は、現場の課題を吸収し、よりよいサービスや製品を提供していくために、続々とローカルの採用を増やしています。今のように、グローバルジョブにつきやすい日本の企業の組織体系が今後も続くと限らないことは、どういったキャリアプランを描くにせよ、よく考えておく必要があると思います。

・アジアで働くという選択肢

アジアの現地採用という職種が、ライバルも少なく、日本人がゆえの利点を活かしてくれると書かれています。

日本企業文化を知っているということが、特殊性のある日本の会社と、現地の会社の橋渡しとして非常に重宝される存在であることが分かりました。また、アジアでの業務も経験することで、今後貴重な人材として活躍することができるかもしれません。更に驚いたことに、国や地域によっては、生活水準を高めながらの生活も可能であるかもしれないとのことです。

また、まだ稀なようですが、日系企業の海外の現地採用から本社のトップになられた方もいるようです。

意外な選択肢が、非常にメリットが大きく書かれていたため、個人的には印象深い働き方です。

・最後に

自分自身は、役員になりたい!とか、そういう目標がある訳ではありません。しかし、今後の状況や選択肢の自由を増やす。という意味で考えると、自分が常に他社からも声がかかりやすく、採用されやすい立場にいたいとは思います。

その時に、

自分が今どこの立場にいるのかを知る。

次に、

どちらの方向に走り続けるかを知る。

もし、

新たな選択肢を考える時に、候補となる組織の立場を知る。

ということを、心がけていると、また日々が変わってくるでしょう。

もちろん、他責的にならず、先ばかりを見ず、まずは、目の前の課題をきっちりとこなしていくことが、個人的には何より重要だとも思っています。


色々と考えさせてくれる良い本に出会えてよかったです。