2014年12月20日土曜日

2014年Amazonで最も売れた本 "嫌われる勇気"

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え
岸見 一郎 古賀 史健
ダイヤモンド社
売り上げランキング: 9

2014年Amazonで最も売れた本 "嫌われる勇気"を購入してみました。
"これを読んだ人は明日から幸福になれる"と胡散臭いけども断言したくなる一冊です。

内容は、著者の岸見氏からみたアドラー心理学を、”哲人と青年の対話”という形式で紹介しています。

詳細は、Amazonレビューを参考にして頂き、個人的に気になった言葉を残しておきます。

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"「不安だから外に出られない」のではなく、「外に出たくないから、不安という感情を作りだしている」"

フロイト的なトラウマなどの「原因論」を否定する「目的論」からみた、アドラー心理学ならではな考えです。感情は道具。そこが、なかなかこの本の衝撃的な主張です。

"自分の経験によって決定されるのではなく、経験に与える意味によって自らを決定するのである。"

過去の経験に縛られずに、自分が体験したことを、今の時点でどう意味づけるかが重要であると述べます。この考えは、ハーバードの人生を変える授業でも紹介した、ポジティブ心理学にも一部似た考えが出てきます。気になった方は、ご参考に。

"あなたの不幸は、あなた自身が「選んだ」もの"

目的論からすると、我々は何かしらの目的に沿って生きているのです。
つまり、不幸だと想うのは、あなたが不幸という人生を選んだからです。
一見この言葉だけを読むとなかなか手厳しいですが、逆にいうと自分次第で変えられるという、ポジティブな方向に捉えられます。

"すべての悩みは「対人関係の悩み」である"

言い切ります。すべての悩みは「対人関係の悩み」である。確かにそうだと思います。

"劣等感と劣等コンプレックスは違う"

「AであるからBできない」という人の「AだったらBできる」はたいてい成り立たない。
優越コンプレックスを持つことも、他者の価値に生きてしまうことを認めている。

"権力争いを挑まれたときには、ぜったいに乗ってはならない"

結構自分の周りの先輩社会人は自然とやっている気もしますが、少ないながら仕事していると、こういうのありますよね。
”闘うこと” = ”自分の力を証明したい”。こういう状況に巻き込まれそうになったら、この闘いには挑んてはいけない。勝っても負けても、負けた側は、より問題行動を起こすだけです。我慢するのではなく、リアクションしない。

"対人関係のなかで「わたしは正しいのだ」と確信した瞬間、すでに権力争いに足を踏み入れいている"

”わたしが正しい”という考えを対人関係にまで延長すると、”あなたは間違っている”という、勝ち負け、権力争いの始まりとなる。自分が正しい。と想うなら、他の人がどんな意見であれ、そこで完結できるはず。

これは難しいですね。正しさの、人への強要みたいなのは、自分は無意識的によくやってしまいますね。また、マイノリティに対する社会的な弱さも、こういった考えとつながるのではないでしょうか?

”賞罰教育への批判”

我々は、他者のために生きているのではない。まさにその通り。と思うけど、実際の教育現場では難しいだろうな。とも思うところです。
こういう賞罰されてきた子供時代からいかに早く抜け出すことを覚えるか。というのが重要だと思います。

また、”ほめる”という行為は、他社との縦の関係を構築する手段です。横の関係を推奨するアドラー心理学では、よくない行為です。
更に褒められることによって、自分には能力がないという信念を形成しやすい。という罠もあります。

”馬を水辺に連れていくことはできるが、水呑ませることはできない”

他者の課題を分離すること。これは、自分の課題ではない。と真摯に判断すること。
これは、結構できてる人多いよね。と思います。

問題は、連れてあげたいと思う馬を、きとんと水辺に連れてってあげることが自分にはできるか。という部分だと思う。

”承認欲求にとらわれている人もまた、きわめて自己中心的なのです。”

わたしに執着している人は、すべて自己中心的。自己への執着ではなく、他者への関心に切り替えなければならない。

”人は「わたしは共同体にとって有益なのだ」と思えたときにこそ、自らの価値を実感できる。”

人を縦の関係ばかり作るのではなく、横の関係を多く作っていくこと。これが、共同体で自分の幸福を見つけていくうえで重要。

”幸福とは貢献感である”

本書では、青年と哲人の会話の終盤で、幸福を貢献感であると断言しています。

”連続する刹那をダンスするように生きろ”

個人的にはやっぱり重要だな、と思った一文です。
キーネーシス的(動的)な人生と、エネルゲイア的(現実活動態的)な人生を比べています。その瞬間、瞬間を全うに生きようとする人こそ、気づいた時に、長い道のりを歩いてきたことに気づくのでは?という示唆に富んだアドバイスだと思います。

個人的にも、自分の周りを見てみると、連続する刹那をダンスするように生きている人が、次々に新たな成果を生み出していると思います。

自分もそういう姿勢で生きたいと思うところです。

「いま、ここに」強烈なスポットライトをあてて生きなさい。というのが、岸見流アドラー心理学なのでしょう。

”世界は他の誰かが変えてくれるものではなく、ただ「わたし」によってしか変わりえない”

人生の意味はあなた自身が与えるものである。と、やっぱりポジティブ心理学を読んだ時と何か似た部分を感じるところがあります。

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色々とハイライトしてみましたが、個人的なハイライト大賞は、

連続する刹那をダンスするように生きろ

としたいと思います。

心のなかにしっかり刻みたいものです。

アドラー 人生を生き抜く心理学 (NHKブックス)
岸見 一郎
日本放送出版協会
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