2016年2月29日月曜日

Kindle 3 を分解しました。 〜Kindle 3 Teardown〜

いらなくなったKindle 3を分解しました。

コントラストを向上したE Ink Pearlを採用。
2010年発売のものです。
日本では直接販売はありませんでした。

主な仕様は、ウィキペディアを参照ください。





3年間ほど使っていませんが、E Inkなのでバッテリ切れの状態が表示されたままです。



以下分解の手順です。ゆるーく記録として残しておきます。

①バックカバーを外す。

 爪で引っかかっているので、それを剥がします。
 周囲と内部に爪があります。それらを取ると中味が見えます。




iPadと比べると、バッテリの大きさが小さく、電気基板の割合が全体の半分程度を占めています。

E-Inkのディスプレイなので消費電力も少なく、液晶タブレットと比較してもバッテリ容量の制限が少ないのかもしれませんね。



また、バックカバーには、UPMと書かれた近距離無線用のタグがついています。ググると色々情報が出てきますね。それぞれのKindleを識別するのに使われているのかな?




スピーカー用のメッシュも、バックカバーに両面テープで貼られています。忘れがちですが、MP3の再生機能があります。



②内部のネジをとり、各種コネクタを外すと、基板、バッテリなどが外れます。
 そのままマグネシウム合金っぽい板も外れます。
 
電気基板を外しました。

裏側です。色々と気になる点ありますね。



バッテリです。



電気基板とバッテリを外した状態です。このマグネシウム合金っぽい板の反対側にE-Inkディスプレイが配置されています。



ネジは、緩みどめ機能のある特殊ねじのように見えます。一部に使われています。



マグネシウム合金っぽい板を外したところです。ここに、キーボドと左右に配置されるページ送り用のフレキが配置されています。また、写真上部についている樹脂は、両面テープで貼られています。



ちなみに外観に出るキーボードは、こんなフィルム状のもので実装されています。



マグネシウム合金っぽい板を外すとフロント側だけになります。
E-Inkディスプレイの裏側が見えますね。ガラス基板のE-Inkディスプレイのようで、プラスチック基板ではないんですね。あまり重さを気にしたことはありませんが、プラスチックベースのE-Inkになると、もっと軽くなりそうですね。



フロントカバーのページ送り用の左右のスイッチは、板金類が配置され、少し変わった構造になっています。



③最後に、E Inkのディスプレイを両面テープから外すとそれぞれ分解されます。
 全体としてはかなり楽でした。

ディスプレイを剥がした状態です。



E-Inkディスプレイだけの状態です。きちんとこれでも表示はされています。



全体的な構造としては、かなりシンプルな構成でした。



KindleTips

2016年2月14日日曜日

製造業に勤めるエンジニアが知っておくと便利な統計の基礎

製造業に勤めるエンジニアが、業務を行う際に知っていると便利な統計の基礎を復習します。

特に、サンプルデータから母集団を推定する方法を考えていきます。

その① 母集団の分散を推定する

☆標本分散と不偏分散(点推定)

まずは、分散といえど2種類あることに注意しましょう。
標本分散と不偏分散です。


標本分散は以下で計算できます。
$$\frac{1}{n}\sum_{i=1}^{n}(x_i - \overline{x})^2$$

不偏分散は以下で計算できます。
$$\frac{1}{n-1}\sum_{i=1}^{n}(x_i - \overline{x})^2$$

nで割るか。n-1で割るかの違いです。



この違い正しくわかっていますか?



業務に応じて、目的にそった方法で計算する必要があります。



例えば、



全数検査を行う場合は、

全数検査集団 = 母集団

なので、標本分散でOK!



しかし、抜き取り検査である場合は、

抜き取り検査集団 ≠ 母集団

のため、不偏分散で計算しましょう!
標本分散で計算すると、実際の母集団の分散より小さい値になってしまうことが知られています。



そのため、母集団の分散を推定するために、抜き取り検査を行っている場合(たいていそうだと思いますが)は、不偏分散で計算しましょう!



ただ、安心してください!
たいていの場合、一般的な計算では、n-1で計算されています。



本題は次です。



☆不偏分散が求まればOKなの?

不偏分散が求まればOKなのか?



そうとは限らない場合があります。



限られたデータから考えた場合、求めた分散もある分布をもってバラつくからです。



分散がバラつくので、母集団を厳密に評価できたとは限りません。
そのため、確率的に、分散がどのくらい異なってくるかを判断する必要があります。



その分散のバラつき具合を推定することを区間推定といいます。

一方で、先ほどの不偏分散だけで計算するのは、点推定といいます。


では、区間推定の方法について、次は学んでいきましょう。



☆区間推定(分散編)

得られたデータから分散の区間推定をする方法を覚えておきましょう。



データが正規分布に従う時、区間推定を行うために、以下の法則を利用します。



平方和を $ S= \sum_{i=1}^{n}(x_i - \overline{x})^2$と定義したとき$\frac{S}{\sigma^2}$は自由度n-1の$\chi^2$分布に従う。



上記の法則から、確率95%の分散の区間推定は、以下のようにかけます。
$$ \frac{S}{\chi^2(n-1,0.025)} \leq \sigma^2 \leq \frac{S}{\chi^2(n-1,0.975)}$$



以下の例題を使って覚えてみましょう。



例題
あるエンジニアがりんごを作りました。
そのりんごの重さを10個測定したところ、以下の重さでした。
296,299,302,298,301,297,304,303,305,294[g]
このりんごの母集団の分散の95%信頼区間を推定します。
ただし、りんごの重さの母集団は、正規分布とみなしてよいとしましょう。



◯Excelで計算する

点推定:$\sigma^2$ VAR(データ)=13.4
残差平方和:S DEVSQ(データ)=120.9

下側カイ二乗分布:CHIINV(0.025,9)=19.0
上側カイ二乗分布:CHIINV(0.975,9)=2.70

区間推定結果:S/CHIINV(0.025,9) = 6.4 ≦ $\sigma^2$ ≦ 44.8 = S/CHIINV(0.975,9) 



◯Scilabで計算する

A = [296,299,302,298,301,297,304,303,305,294]
点推定:$\sigma^2$ variance(A)=13.4

残差平方和:S = variance(A)*9 
区間推定結果:S/cdfchi("X",9,0.975,0.025) = 6.4 ≦ $\sigma^2$ ≦ 44.8 = S/cdfchi("X",9,0.025,0.975)



標準偏差は、2.5 ≦ $\sigma$ ≦ 6,7 [g]になります。
3$\sigma$は、最大で20[g]です。



こんな感じです。



正しく使えるかが重要かもしれませんね。



☆何故、不偏分散は、n-1で割るのか

これについては、実務レベルで毎回考える必要ないと思いますが・・・
ただ、この状態は気持ち悪いと思うので以下に分かりやすいリンクを残しておきます。


分散の期待値を計算していくと、n-1で割っているのが分かりますよね。

標本分散は、求めた平均(標本平均)が母平均と異なるため、分散が小さくでてしまいます。

標本分散に対して、n/(n-1)倍したものが、母分散の推定量と一致すると覚えておきましょう!


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