2013年1月13日日曜日

最近読んだ本

あまり仕事に関連しない本で読んだ本をつらつらと。

・刑務所なう。 堀江貴文 

刑務所なう。
刑務所なう。
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堀江 貴文
文藝春秋
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内容というより、獄中にいながらメルマガなり、この本なりと、世の中にアウトプットを出せる彼の人気や積極性に感心する。
刑務所の中を知るという意味では、以下の本もオススメ。

刑務所の中
刑務所の中
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花輪 和一
青林工芸舎


・向日葵の咲かない夏 道夫秀介

向日葵の咲かない夏 (新潮文庫)
道尾 秀介
新潮社
売り上げランキング: 9,387

久々に面白い小説。
”世界”と、”自分の世界”の狭間で怯える人々の物語。
これは、ミステリーではないと思う。
オススメ。

・ゴーマニズム宣言スペシャル 反TPP論 小林よしのり

ゴーマニズム宣言スペシャル 反TPP論
小林 よしのり
幻冬舎
売り上げランキング: 3,049

小林よしのり氏をきちんと読んでいたのは、中学、高校と大学生の最初の頃くらいだが、時折、買って今でも読んでいる。基本的には、彼の言論に対して距離を置いてきたが、久々に違う意見を読んでみようと思った。
相変わらずの小林よしのり氏の勉強量と活動量に頭が下がる。自分自身がTPPに関してどれだけ無知だったかも見えてくるし、メディアに対しても改めてダメな部分が見えてくる。


・変身 フランツ・カフカ

変身
変身
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(2012-09-14)

Kindleなどで無料で読めるので読んでみた。
個人的にはあまりはまらなかった。
家族の心境の変化が印象的。

・いまから、君が社長をしなさい 島原 隆志



正直、他の彼の書籍の方が役に立つと思う。

セイジ 辻内 智貴

セイジ
セイジ
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辻内 智貴
筑摩書房
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映画を見たので、どういう風に原作と違うのが気になって、その影響で読んでみた。
映画から見てしまったせいか、原作もセイジに関しては感動できなかった。
この本には、セイジも含めてふたつの物語が記載されているが、後半の物語のが個人的には好きだった。
しかし、基本的に辻内氏が描くそのふたつの物語の主人公には、まったく共感ができないから、入り込めない。日常を生きている人間が問題提起ができず、かりそめで生きているように描かれているが。そして、彼ら主人公にしか、見えないものが見えているように、描かれる。
果たしてそうなのだろうか?日常を全うに生きている人は、彼らの正義を貫こうとする術を知らない人間ばかりなのだろうか?それに、最終的にセイジが神格化されているのが、甚だ疑問だ。

2013年1月8日火曜日

トヨタ式顧客開発法

リーン・スタートアップ  ―ムダのない起業プロセスでイノベーションを生みだす
エリック・リース
日経BP社
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新年に読むにふさわしい本です。
変化の激しいこの時代では、多くのエンジニアが読むべき本だと思います。

クリステンセンはイノベーションのジレンマ(本Blog記事:努力が我が身を滅ぼす時)で、破壊的イノベーションと継続的イノベーションの差異を説明し、ジェフリー・ムーアは、キャズム(本Blog記事:キャズム)で顧客セグメントの断絶を示しました。

しかし、多くのスタートアップがキャズムに出会えるのは幸運で、その前に製品開発ではなく顧客開発という言葉で、顧客の課題を的確に捉えることがスタートアップの第一歩だと示したのが、アントレプレナーの教科書(まだ本Blogにまとてません。)です。

では、その顧客開発を科学的に管理し、システムとして組織が行うことは可能なのか。それを端的に示したのが本書だといえると思います。

しかも、個人的に感動したのがトヨタ生産方式を参考に、このスタートアップの方法をまとめていることです。

トヨタ生産方式
トヨタ生産方式
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ダイヤモンド社 (2012-09-14)
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トヨタ生産方式―脱規模の経営をめざして
大野 耐一
ダイヤモンド社
売り上げランキング: 3,385

トヨタ生産方式は、よく誤解がありますが、ニーズからの出発を掲げています。
それは、当時でいうと少量多品種の市場のニーズを満たすことでした。

そのためには、フォード流の単純大量生産方式では、太刀打ちできないという課題がありました。そこで、徹底的にムダを省くことに着目し、方法としてジャスト・イン・タイムと、自働化の二本柱で実行が勧めらました。

ジャスト・イン・タイムは当時としてはコペルニクス的展開だったと思います。大量バッチの生産の方が単純作業で、効率的と考えますが、全体として見た時に最適でないことが本書を読むとわかると思います。

また、トヨタ生産方式が優れていることは、これがトヨタの経営/組織体質と一体化していることです。本書でも、”経営に直結する製造技術”と述べています。


話をリーンスタートアップに戻しましょう。
顧客開発では、満たすべくニーズが本当に正しいかを組織として無駄なく見つける必要があります。

本書で、自分が開眼した部分があります。

アイデアを出し、製品化し、市場からのフィードバックをもらう(データ)。
大雑把にいうと、製品の開発のループはこうなるでしょう。

このループで、多くの人は、すばらしいアイデアを出し、品質の高い製品を作ることに多くの時間を割きます。(少なくとも自分はすばらしいアイデアが出た時に、そのアイデアに酔いしれるタイプですし、多くの人はそのアイデアを具現化するために、多くの時間を費やして製品化を行うと思います。)
しかし、"むしろ大事なのは、このフィードバックループの一周に要するトータルの時間を最小にすることだ。"とリーンスタートアップは示しています。

なぜなら、その素晴らしいアイデアは、困ったことに市場でまったく成功しないからです。

ムダの少ないトヨタ生産方式のように、ムダの少ない顧客開発を行うには、実用最小限の製品(MVP:Minimum Viable Product)で、客観的にも判断できる正しい計測尺度でフィードバックをし学習する必要があると主張します。
なぜなら価値を本当に生み出す顧客のニーズにあった製品開発以外はムダだからです。
(トヨタ生産方式では、付加価値を生むのに必要でない作業はムダとして改善するべきものと考えます。)

では、そのような組織体制を作るにはどうすればいいのででしょうか。

そのためには、トヨタ生産方式と同じで、開発の体勢もバッチサイズをどんどん小さくする必要があると述べています。ソフトウェアでは、このバッチを小さくするという概念は適応しやすい分野です。それは、細かいバーションアップや、機能の追加は比較的容易だからです。

しかし、ハードウェアでも、近年は多くのツールが開発されています。今ではお馴染みの、3DCADや、Augmented Realityなどを駆使すれば早い段階で、様々な問題点を把握できますし、今流行出している3Dプリンターも活用できます。

開発のバッチサイズを小さくし、早い段階でループの学習を行う必要があるのです。ソフトウェア開発ではウォーターフォール型での開発体勢ではなく、アジャイル型の開発を行うべきなのです。


Appleはスティーブ・ジョブズという天才的な経営者であり、かつ、消費者がいたために、市場のニーズを満たした破壊的イノベーションを行うことができました。しかし、一人の天才に会社の組織を任せられる企業がどれだけあるでしょうか。

日本は、継続的イノベーションは得意で、破壊的イノベーションは苦手だといわれることを耳にします(かつてのSONYなど、破壊的イノベーションを実践した企業があるにもかかわらず)。

しかし、システム的に改善していくことには非常に長けていると言われます。もし、その噂が事実だとして、リーンスタートアップが科学的に優れた手法であるなら、そういった開発体勢を構築し展開できる人物が日本にもいれば、新たなスタートアップが日本の企業でも多く躍進できることになるかもしれません。

そうです。トヨタが経営にまで影響を与えている、トヨタ生産方式を日本で生み出したように、イノベーション工場が日本で"オペレーション"される日も近いのでは。とそんな期待を新年から抱かせてくれる。そんな本でした。

今年もよろしくお願いします。

Memo

food on the table
http://www.foodonthetable.com/
(個人的に使ってみたいサービス。日本では展開していない模様)

コホート分析
http://jp.techcrunch.com/archives/20110923kissmetrics-helps-you-hone-in-on-stats-that-actually-matter-with-cohort-reports/
Evernoteでのコホート分析について
http://jp.techcrunch.com/archives/20100528video-evernote-ceo-phil-libin-shares-revenue-stats-and-how-to-make-freemium-work/

アジャイル開発
http://japan.zdnet.com/sp/sp_06sp0130/20248727/

スプリットテスト

フレデリック・テイラー
科学的管理手法

2013年1月1日火曜日

あ、確かに。と思う部分もあります。

入社2年目のインバスケット思考~一生ものの仕事の進め方~
鳥原隆志
WAVE出版
売り上げランキング: 55,117


そこまで、目からウロコ!という部分はないんですが、基本を忠実に、奢らず、そして、自分を振り返るには良い本だと思います。

個人的メモです。

指示を受け取った時点で、指示の期限と重要性を支持者に確認する。

指示を出した人と自分の考え、仕事の進め方には大きなギャップがある。(指示を出している人は、その人以上の情報があったりもする)

教育の場においてはコーチングだけでなく、ティーチングでないといけない場合もある

組織では個人の失敗もチームの失敗としてみなされる
部下の失敗の責任は自分の失敗としても受け取らなければいけない。

任せたはずの仕事に変更がある場合は、必ず指示者に相談・報告する。

自分はたいしたことのない情報だと思っていても、相手にとっては、絶対の価値がある場合がある。
意見を相手から求められているということは、どのようなことを考えて意見する。

どの部署がその仕事の主管部署なのかを確認すること。

結論を先に答える

本当に謝罪が必要な時は直接謝りにいく

先を読むことで今後与えられる仕事が変わる

目的と手段を混合しない

問題点→仮説→情報収拾→対策を複数考える


余談

昔、自動車メーカーで受けた入社試験がインバスケット試験でした。
昇級試験で使われる会社があると本書には書いてありましたが、入社試験でも採用されているようですね。
確かに、人それぞれ考え方が分かる試験だとは思います。