2011年7月13日水曜日

よくわかる医療機器業界・最新勢力地図





俗に言う業界本かと思ったが、中味はそれとは違い、それ相応の内容があったのと、情報も最近のモノなので、いくつか勉強になりました。

ニッチ市場としての集積としての巨大市場

医療機器業界はその市場規模は3兆円を超えるという市場規模を持っていますが、それぞれの各分野で高いシェアを持っていても、売上としては少なく、他の業界と異なり、高いシェアをあるニッチな市場で得たとしても、平面展開がしずらいといった店があります。これは、同じ医療といっても、医薬品とは大きく異なる所です。しかし、そのニッチ市場性が、新規参入しやすい市場でもある。これは兼業メーカーが多いことからも伺え、審査は厳しいが、アイデアと技術、生産能力があれば、広く参入がしやすい。もちろん、きちんと現場のニーズを理解できる必要はあるだろう。

デバイスラグ

ドラッグラグだけでなく、デバイスラグという言葉がある。そのせいで、海外で使われている機器が日本で使えないという事態が発生する。平均で19ヶ月といわれている。ドラッグラグにおいては29ヶ月。本書では、ドラッグラグにおいては、副作用の存在と、日本人と欧米人の人種による差から、ある程度は仕方ないと述べている。しかし、デバイスラグにおいては、一部の医療機器を除き、ほとんど副作用がないので、理論的にゼロでよいとのべている。このデバイスラグの原因は厚生労働省の怠慢という。これはたったの48人というスタッフの少なさが物語っている。また、PMDAでもスタッフが結局足りないと、主張されている。(PMDAについては、こちら

審査が厳しすぎるのも大きな問題のようだ。それらのせいで、海外では一般的に普及している医療機器も、日本では普及しないという事態が発生している。今後の計画でこれらが、きちんと改善されるかが、重要な問題である。今の状態では、海外で認可されてからそれをわざわざ日本で申請するという現象がおきている。本書では、テルモの補助人工心臓などを例に、この問題について解説している。

国の対応として、スーパー特区の話がよく出てくる。一箇所にお金を一気に集中させるのは、日本らしいやり方。よく、京大のiPS細胞が例に出てくるが、iPS細胞の将来の価値はそれほど大きいのだろうか、個人的には詳しくないので知りたいところ。また、筆者はこの、日本の弱かった横断的なスーパー特区のプロジェクトに大きく期待をしているよう。日本らしき解となるのか、将来が気になるところ。



本書の後半は各日本企業の会社の紹介となっている。富士フイルムの、現在の成長の早さにはやはり目の見張るものがあるようだ。日本では存在しなかった、総合医療メーカーが誕生するかもしれない。現状でも、医療のネットワークシステムで高い評価をシェアを持っているのは知らなかった。しかし、外資系に強く負けたこの状況はいつまで続くのだろうか。。。日本も積極的に医療市場を取り込んでいき、今後も今も大きな問題となっている医療業界を大きく変えていかないといけない。また、日本だけでなく、やはり今後は海外市場が大きなマーケットとなるようだ。最後に、よく言われることでもあるが、M&Aも単純なスケールメリットが活かせないというのは、勉強になった。

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