2013年11月3日日曜日

オープンソースCAEの世界

少しわかりづらいオープンソースCAEの世界を整理したいと思います。

ディストリビューションとは

まず、オープンソースCAEを初めて利用する場合は、ディストリビューションという一種のLinuxの配布形態の上で、利用する機会が多いのではないでしょうか?

普通Linuxで開発環境を整える時は、自分で必要なソフトをインストール(基本的に無料のものを)して、開発環境を整えるのが普通です。しかし、Linuxなどに慣れていない場合は、そのような開発環境を整えるのも、ストレスです。また、他の人が問題なく動く解析も、自分の開発環境によっては動かない。などの問題も発生し、情報を共有することが難しいなどの問題もあります。


そのため、開発環境を全て整えられた状態で配布することが多いようです。(それがディストリビューションという配布形態です。)

(※ほとんどの配布されているOSが厳密にはディストリビューションなのですが、ここでは、解析ソフトが一式入ってまとめられた、一種の派生版のディストリビューションをさしています。)


現在配布されているCAE関係の、ディストリビューションで有名なものは、以下があるようです。

CAELinux
DEXCS (本Blogでも紹介しました。)

(他にも有名なのあるよ!ってのがあったらコメントしてもらえると助かります。)

個人的に両方使ってみましたが、CAELinuxの方を現在は利用させて戴いています。

プリプロセッサーソルバーポストプロセッサ

実際に、解析条件を定めたり(プリプロセッサ)、解析の計算をしたり(ソルバ)、結果を眺めたり(ポストプロセッサ)する部分です。

オープンソースの世界にも、これらのソフトは多々あり、恐らく紹介しきれませんが、Webでザクッと検索すると以下のものがあります。

プリプロセッサ(メッシャ)

Salome
Netgen
Gmesh
Discretizer
enGrid

ソルバ

Code_Aster
Adventure
OpenFOAM
Elmer

ポストプロセッサ

ParaView
Visit
Salome

他にも色々です。

ディストリビューションの形態でインストールしたとしても、たいていこれらのソフトのうちどれかが入っています。また、違うディストリビューションでも、結局同じソフトが入っていたり。ということもあるでしょう。(DEXCSにも、SALOME-MECAを入れたディストリビューションと、Adventureを入れたディストリビューションとあります。)

どれが良いかというのは、それぞれの解析目的に見合ったものを探さないといけないのかと思いますが、まずは自分に関連する研究者や開発者のコミュニティで、ユーザー数や情報の多そうなソフトを用いるのが無難でしょう。(どちらにせよ、無料なので色々とトライできるのは幸せなことだと思います。)

大雑把なイメージとしては、Webベースで見ると、SALOMEとCode_Asterを合わせたSALOME-MECAや、OpenFOAMのユーザ数が多いのかと推測します。また、大規模解析ではAdventure関連をよく耳にする気がします。

機会があれば、もう少しこの辺り、まとめてみたいところです。

サポート体制など

基本的に、オープンソースの世界では親切なサポート体制は存在しません。その変わり、無料で情報を提供しようとするコミュニティが活発になります。そのため、十分な情報を無料でシェアする機会が今後は多くなると想像します。

オープンCAE学会
OpenCAE Users Wiki

しかし、特殊な解析事例などは、自分で文献調査したりなどといった努力は必要かと思います。とはいえ、基本的な解析環境が家庭でも簡単にできるようになるのは幸せなことだと思います。

幸せな解析ライフをお過ごしください。


開発現場で活用できるオープンソースCAE/1/SALOME-MECA (CAE教育研究所)
榎戸 正一
ベリテ
売り上げランキング: 297,128

0 件のコメント:

コメントを投稿