2011年10月2日日曜日

日本企業にいま大切なこと

日本企業にいま大切なこと (PHP新書)
野中郁次郎 遠藤功
PHP研究所
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日本企業にいま大切なこと (PHP新書)



日本企業は、「世界で戦えない」


この言葉に反旗を翻した本。

米国の華やかな企業経営から流行した科学的経営や、効率的経営ばかりに主眼をおいた経営に対して疑問視すると同時に、かつてから日本が得意とした現場の「暗黙知」などに重点を置き、情緒的でよくないと批判された日本企業だからこその強みを説明している。

以下は気になった言葉をまとめます。

・"In the beginning was the Word."か、"In the beginning was the Experience"か。
 仮説とは経験から生まれるもの。イノベーションは平凡な日常からしか生まれない。

・イデオロギーだけでなく、リアリスティックも。
 理念を実行にうすつには、現実主義の視線から柔軟な発想が必要となる。

・「サイエンス」というより、むしろ「アート」
 個人的に、イノベーションのジレンマのような、経営から法則性を探しだすことは良いと思うが、最終的にそれを日常で実践できるのは、机上の計算だけでない実践的な指導者も必要。それは、「サイエンス」というより、むしろ「アート」に近い。

・「共同体の善」
 CSRが叫ばれる前から日本には共同体の善を実践していく企業が多くあった。しかし、「共同体の善」がこの多様化した社会で簡単に同意を得られるかは難しいところかも。また、各企業がどんな善を目的として事業を行うかを考えることは今後より重要となる。

・サムスンの課題はサステナビリティ。
 事業規模のスケールでは他を圧倒しているが、「集団」としてのパワーには疑問符がつく。個々の社員は高いパフォーマンスを発揮するが、それだけで長く企業として続くのだろうか。(また、サムスンの得意とする事業のモデルが世界的にソフトの仕組みづくりが主力になっている点からも、今までの事業の方法では難しいのではないかと思う。)

・アジャイルスクラム
 知的創造には他社と共鳴しあう「場」が必要。

・日本の弱点は「モノ」と「モノ」をつなぐ「コト」のイノベーション。
 これは、iPhoneやAmazon、Googleなどと比較されてよく言われることですね。

・ミドルを踊らせる。
 会社の中間層をどう踊らせるか。それが、経営者の重要な点。

・一社で様々なリソースを持っている。
 総合力を今後うまく活かすことができたら、日本の企業は化ける可能性がある。

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