2011年4月29日金曜日

人は放射線になぜ弱いか  近藤 宗平





ものを怖がらなさすぎたり、怖がりすぎたりするのはやさしいが、正当に怖がることはなかなかむつかしい。

著者は長年研究者として活躍し、物理学、遺伝学、基礎医学に従事し、放射線とは広島の原爆の時代から関わっている。この著者の主張は分かりやすく、低放射線に害はなく、現在一般的に使われている、閾値なし直線(LNT)仮説が誤っているという主張が本の主題のひとつである。また、この本を読むと、低量放射線の人体の影響に対して、意見が大きく専門家で別れているのも理解できる。

福島の話題がある今、内容がタイムリーなので多くの人がブログで批評をしているが、その反応は基本的に賛成する人と、一部賛成だが、本の主題のひとつである、微量の放射線は問題ないと言い切るのは難しいのでは?という意見に大きく別れる気がする。個人的な結論としては、まだ慎重な態度をとれば後者の考えに近いが、確率的にみて個人のレベルでは前者である。

何故そういう風に考えるのかというと、他のブログのエントリの記事の考え方と似ている部分があり、著者の意見を丸々賛同できない。同時に、多くの放射線を扱ってきた現代社会を考えて、変に心配してもしょうがないという結論にひとまず至ったし、微量の放射線が体にいいかもしれないが、一方で確率的に個人のレベルで健康を害したとしても、それを気にして生活していてもしょうがないレベルと思ってしまった。もちろん大量被爆する可能性があるような世の中になるなら話は別だが。

他ブログ

個人的には、第二章最後のマウスの遺伝病の結果とヒトに対する遺伝病への話の飛躍の仕方にも違和感を感じた。

残念ながら、この本を読んでも正当に怖がることはできないが、この本を読まない場合は、いつまでたっても正当に怖がることはできないだろう。

参考

内部被曝の脅威
放射線と健康

0 件のコメント:

コメントを投稿